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副院長コラム

2016.08.01

歯の変色

正しい知識は自分のからだを守ります。

また歯科医師としては正しい知識を持つと患者さんを治すことができます。

実は逆を言うと、間違った知識や無知は患者さんを治すことができないどころか、害を与えてしまうことさえあります。


今日は世界的に有名な先生の講演を聞く機会がありました。

しかも無料です。とてもラッキーでした。

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特に交通事故やアクシデントで歯をけがしてしまった場合の治療についての第一人者と言える方です。

講演内容も多くは歯のけがに関することでした。


歯をぶつけてしまった後に変色することがよくあります。

僕が学生の頃は、ぶつけた後の変色は歯の神経が死んでしまったことを示しているので、すぐ神経を取るべきと習いました。


しかし、実はその色の変化は神経が回復する途中で一時的に出てくることもあります。



つまり、時間をおいて様子を見ているだけで回復する可能性があるということです。

ここで注意しなければいけないのは当然、治らない場合もあるということ。
すべてが経過を見続けていればいいというわけではありません。



実際に自分のクリニックの患者さんです。

18歳の男の子で部活のときアクシデントで友達の肘が歯にあたってしまいました。

大きな症状がないため様子観察としましたが一週間後、歯の変色がおきました。

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右上の真ん中の歯です。

左上の歯と比べると薄暗くなっています。

神経の反応を調べる検査でも反応はありませんでした。


幸いにも、この先生の著書で治る可能性があることを知識として知っていたので、このまま様子を見続け3ヶ月後

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まだ完全ではないですが色の回復を認めます。

神経の反応も回復しました。




もしもこの知識がなければ、怪我した一週間後に神経をとってしまっていることになります。

しかも神経の取り方がうまくできなければ、さらにばい菌を歯の深部まで感染させてしまうことにもつながりかねません。

つまり、歯科医師の治療行為がさらに状況を悪化させてしまう可能性があるのです。

この段階での診断が最重要だと考えます。


今回のような場合は知識を持っているだけで、様子をみるという積極的に時間を置く選択肢を提示することができます。





今回の講演では印象に残るフレーズがたくさんありました。

「体の治癒力を知る。」

「遺伝的にプログラムされているのでそうならざるを得ない。」

「歯科医師が治すのではなく、体が治すのを手助けするだけ。」

など。

やはり一般歯科のトップレベルの先生たちは話す内容に共通点があり、圧倒的な基礎的知識が裏付けとしてあることを再認識しました。

これは日本だけではなく以前スウェーデンに研修に行った時にも感じました。

ただ偶然治ったわけではなく、なぜ治ったのかを解説できる。

逆にどんな状態だとなぜ治らないのかも。



そこの見極めが圧倒的に理論的で組織学的、病理学的、生理学的に裏付けされています。




今日の先生も

『私は特別な治療技術をもっているわけではなく、当たり前のことを当たり前にしているだけです。

ただ他の人と違うのは治療をする前の診断がすぐれているとは思っています。』

とおっしゃっていました。




やはり診断力。

歯科医師の能力の本質だと再確認しました。

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