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副院長コラム

2016.07.05

歯並びと遺伝

お子さんの歯並びを心配する親御さんはたくさんいらっしゃいます。

当の自分もその一人です。



「歯並びが悪いのは遺伝のせい。」

「自分が歯並びが悪いから子供も影響する。」



と考えていらっしゃる方が多いです。



これって本当でしょうか?

歯並びは遺伝のせいなのでしょうか?




先日歯並びについてのお話を聞いてきました。

講師の先生は何十年と小児の歯科治療、特に障害をもつお子さんの治療を専門とされている方です。

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40年前はむし歯の洪水時代と言われていました。

子ども一人にたくさんのむし歯があって治療するので精一杯、、

今のようにむし歯の予防なんていっている余裕はなかったそうです。

IMG_7662.jpg(噛むことと健康より)

しかし時代は流れ、今子どものむし歯は相当減っています。

先日幼稚園の検診に行きましたが、9割近くの子はむし歯がありません。

歯科医師としてとても喜ばしいことですし、先人の先生方の大きな功績だと思います。




話がすこしそれますが、よく

「むし歯が少なくなって、歯医者さんは仕事がなくなっちゃうね」

と言われることがあります。




これは歯医者が歯の治療をするだけの場所というイメージからくるもので、それこそむし歯の洪水時代の考え方です。




私たち歯科医師の役割はむし歯の治療をすることではありません。



歯科医院の役割は「口の健康を保つこと」です。

いかにむし歯や歯周病にならないようにするか。

それを伝え健康を保つことこそが私たちの役割です。




さて、話を元に戻します。

むし歯が少なくなった一方で最近明らかに昔より増えているものがあります。



それが歯並びの異常です。

IMG_7664 (1).jpg(噛むことと健康より)



子どもの歯並びとしては左のような歯並び(切端咬合)が理想的で、昔は切端咬合の子が多かったようです。

しかし、今は9割近くが右のような下の前歯が見えない歯並び(過蓋咬合)をしています。




この変化はなぜ起きたのでしょうか?





歯並びには確かに遺伝の影響も少なからず存在します。

しかし遺伝が影響するなら昔も今も歯並びの異常は同じくらいのはずです。




実は歯並びにはもっと影響するものがあることが最近はっきりとしてきました。




それは遺伝ではなく環境による影響。


とくに

①食生活

②癖

です。




①食生活

昔と比べると明らかに硬いものを噛むということが少なくなっています。

本来はよく噛むことで顎の発達が促され、唾液の分泌も促進されるというわけです。

IMG_7666.jpg(噛むことと健康より)

以前は食事中お茶は飲まず、食事が終わったあとにお茶を飲むという習慣だったようです。

僕も自分のこどもによかれと思いお茶をすぐ与えていたことに気づきました。

前歯で噛みちぎり、食事をよく噛むという口本来の機能がしっかりと発達しないため、口腔の発育が遅れ歯並びに影響をします。

IMG_7665.jpg(噛むことと健康より)




②癖

スクリーンショット 2016-07-06 1.14.10.png

最近最も問題視されているものが口呼吸です。

本来は鼻から呼吸するのが正しい呼吸方法ですが、口呼吸している子どもが大変増えているということが言われています。

唇をただしく閉じれないと出っ歯や前歯がかみ合わなくなることがわかっています。

口呼吸になる原因としては赤ちゃんの時の抱き方や、姿勢が大きく影響しています。

また舌の動きの異常によってももたらされてしまうようです。



このように姿勢、呼吸、食事といったように本来自然と身についていくように考えられている機能の問題が歯並びへと影響を与えているという問題があります。

親としても自分では無意識にしている動作のため教えるにも教えれません。



そこで最近は姿勢や呼吸方法の改善へのアプローチが盛んに考えられています。

食事の与え方についても哺乳や離乳食といった時期からのアプローチが重要ということがわかってきています。



歯並びが崩れる原因が遺伝だけでなく、環境による影響が大きいのであれば

むし歯や歯周病と同様に

歯並びの異常も予防できる

時代がもうすぐそこにきています。




最近はより歯医者の役割の幅広さにとてもやりがいを感じています。

口の健康を守るための勉強を積極的にしていきたいと思います。

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