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副院長コラム

2016.06.13

デジタル化の波②

さて歯科用CAD/CAM技術ですが

模型をスキャニングしてコンピュータにデータを入れます。

かぶせものの形をコンピュータ上でデザインします。

IMG_7156.jpgスクリーンショット 2016-06-13 0.12.49.png

強度の高いブロックを削り出しの器械にセッティングして

スクリーンショット 2016-06-13 0.10.28.pngスクリーンショット 2016-06-13 0.10.46.png

削り出していきます。

従来は盛り足して作っていたものが、全く違う作り方をします。

スクリーンショット 2016-06-13 0.13.19.png

コンピュータ上でデザインした形を忠実に再現できます

スクリーンショット 2016-06-13 0.14.13.png

非常にスマートでいかにも最新。




しかし、最新であればすべてがいいわけではありません。

なぜ、CAD/CAMなのか。

CAD/CAMでなければいけない理由は何なのか、が重要です。



このポイントは今までの自分にはない視点で、今回の講演会での

収穫でした。



その最大の利点は2つ。

①物性が飛躍的に向上する。

②食事中の運動に連動した形を作り上げられる。




①についてですが

従来は少しづつ盛り上げて足していく方法でものを作っていたため、小さな気泡が入り込んでしまい強度に限界がありました。

しかし、気泡のない強度を上げた一塊のブロックから削り出すので、従来に比べてかなり強度が上がります。




②についてですが

従来は技工士さんの手で咬合器を動かして顎の動きを疑似再現して形をつくっていました。

しかし複雑な食事中の顎の動きをアナログで再現することは困難です。

そこで、食事中の顎の動きを3次元的に計測する器械とデータ連動させることで、コンピュータ上でその動きを完全に再現することが可能となります。

Virtual Articulatorと言います。

IMG_7163.jpgスクリーンショット 2016-06-13 2.18.55.png

食事のための動きを再現すれば、当然食事しやすいものができあがるというわけです。


そしてさらに、今は模型を作らず口の中の写真を撮るだけで型取りができる技術も開発されています。

スクリーンショット 2016-06-12 20.55.40.png

今までは型取り材や模型材の物性に大きく影響されていましたが、これでスキャンできればその問題を一気にクリアすることができます。

さらに歯は少しだけ動くため型取りにはその影響もありました。

このスキャナーであればその歯の動きすらクリア可能となります。




しかしこれで作製したからといって、完成品が調整の大きなものでは全く意味がありません。

この方法を使っていかに調整のないものをつくれるかということが重要です。




歯科用CAD/CAMの歴史はまだ比較的浅く30年ほどです。

まだまだ蓄積されたデータが十分ではないですが、今後調整のないものが出来上がってくると思われます。



この技術の精度が飛躍的に向上すれば

①型取りの必要がなくなる

②食事という機能に合わせた形を構築できる

③術者の技量に左右されず常に高品質なものを提供できる

④かぶせものの物性が飛躍的に向上する

⑤作製期間が大きく短縮する



など患者さんにとって大きなアドバンテージが得られます。

現状の歯科から考えると夢のような話ですが、きっとそう遠く無い将来に現実になると思います。




しかし、この技術は今までの70年以上におよぶ歴史の上に成り立つものであり

その歴史の中で得られた失敗や歯の生理学的成り立ちなどの概念がなければ全く意味の無いものと

なると確信しています。


先人の研究してきたことを知る必要は必須であることも再確認しました。

温故知新。

今後も常に知識や技術をアップデートしていきたいと思います。

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