2016.05.28
子どものケガ
僕には3歳と1歳の子どもがいます。
まだよちよちしているところもあって
本当に目が離せない時期です。
どれだけ注意深く見ていても正直なところ子どものケガは避けられないものだと
感じています。
先日、下の1歳半の子が転んで歯をぶつけてしまいました。
口からの出血もそれなりにあって、注意深く口の中を見ると
歯が1本足りない、、、
なんとぶつけた衝撃で歯が抜けてしまったようでした。
完全脱臼といいます。
口腔外科で2年間勤務していたので、子どものケガはかなりの数を診た経験がありますが、
2歳未満という低年齢での完全脱臼は初めてでした。
完全脱臼した場合、抜けたところに歯を戻すという方法があります。
が、1歳半、、、
当然じっとしていられない年齢です。
なんとか抜けたところに歯を戻し、
なるべく歯が動かないように針金で補強し固定しました。
ケガした翌日です。
一番左の歯が抜けてしまった歯です。
歯の周りの歯ぐきが赤黒くなっています。
歯を固定したらできるだけ安静にすることが大切です。
しかしこの子は1歳半。
安静にできるはずもありません。
固定が外れるのが怖くて、しっかり歯磨きしてあげられず
食べかすが針金の上にのっています。
できるだけ汚れをとり、見守るしかありません。
受傷後2日目。
歯ぐきの赤黒さは改善してきていますが、すでに針金の固定が
外れています。
ただ、固定したものにうまくひっかかって歯のぐらつきは大きくなかったので
このまま様子を見ました。
受傷後3日。
歯のぐらつきが大きくなっていたので、固定を補強しました。
歯ぐきの色はさらに改善しています。
受傷後7日。
補強もむなしく針金が取れてしまいました。
歯のぐらつきはありますが、少ししっかりしてきたのでこのまま様子を見ます。
受傷後2週間。
歯にくっつけていた接着剤もきれいにはがれてしまいました。
歯は少しぐらつく程度。
歯ぐきはきれいなピンク色に戻りました。
受傷後1ヶ月。
歯のぐらつきはほとんどなく、歯の変色も起こしていません。
歯ぐきの色は正常を維持しています。
今のところ経過は順調と考えられます。
しかし、今回のように歯に大きなケガを負った場合、
永久歯の形や色に異常をきたす可能性があります。
こればっかりは永久歯が生えてくるのを待ってみないと分かりません。
抜けたところに歯を戻さずそのまま様子を見ていれば永久歯への影響は最小限に
とどまったと考えられます。
しかし、その一方で永久歯が生えてくる7歳から8歳くらいまでは歯がない状態が続きます。
抜けてしまった歯を戻すべきか戻さないべきか。
ケガをした当日は親としてはパニック状態で決断する冷静さを保つのは非常に難しかったです。
どちらを選択しても不利益がある難しい判断です。
今回は患者さんサイドの気持ち、治療する側の気持ち両方を経験した貴重な時間でした。
もし今後同じような状況のケガの子を診る機会があった場合は
親御さんの心配や不安に寄り添えるようなお話ができるといいなと考えています。
いまではすっかり元気にいたずらばかりの毎日です。